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なるみ | おっきろー!(布団の上から覆い被さる) |
僕 | まだ朝の5時だろ? |
なるみ | 今日は町内マラソン大会の日だから特に朝5時に起きてランニングするっ!て昨日言ったじゃないかぁ。 |
僕 | ファー。それは確かに昨日聞いた。でもなんで僕まで起きないといけないんだよー。 |
なるみ | 今日料理あっちゃんの番じゃない?飯作れめしー。 |
僕 | わかった。わかったからからもう30いや15分だけでいいから寝かしてくれ・・・。 |
なるみ | だめだめ!おっきろー!(また布団の上からどたばた攻撃を僕に仕掛けてくる) |
僕 | えーい!わかったわかった今用意する、今すぐ用意するから下で待ってろ! |
なるみ | うふふ。じゃあ楽しみに待ってるからね〜。(ドタバタと階段を下りる) |
(キッチンにて。とりあえず僕は目玉焼きと味噌汁を作っている)
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僕 | (独り言風に)いつもなら僕が仕事に出かけてから冬眠から覚めた熊のように、のっそりのぼーとパジャマのまま起きだすなるみがここ1週間そんなランニングなんて言い出すなんてそれにはちょっとわけがある。それは数日前の話なんだけど・・・ |
(外から小学生の子供達がマラソン大会の練習をしている声が
聞こえてくる。そんな中玄関のドアを叩く音が響く。) |
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なるみ | (ドンドン)ちょっとちょっとあっくん開けてー! |
僕 | オぇぇ。ちょっと頼む、クションッ!わかった開けるからからもうちょっと静かに怒鳴ってくれ。 |
なるみ | 遅いぞ!ちょっとこっちは緊急事態なんだから早く開けなさい! |
僕 | ・・・ううっ(ガチャ>カギを外す音) |
なるみ | ありがとうあっくん。さっどいてどいて。 |
僕 | (ドンと飛ばされ>壁に激突)イテテッ。この恨みはらさでおくべきかっ。 |
僕 | (と、ここだけ急にふつうの状態に戻って独り言回想風に)床に倒れこんだ僕がなるみの方を見上げると、なるみは泥だらけの姿になっておりその脇に少年を抱えていた。その少年はもはや服が元の色が分からなくなるほど泥だらけになっており2人は浴槽の方へ急いで駆けていった。 |
(ドアを開ける音、服を脱ぐ音、そしてシャワーをひねる音が続く)
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なるみ | きゃっ冷たぁい!あっくん悪いけど湯が出るようにしてくれない? |
僕 | 僕病人だけなんだけどなぁ。(湯が出るレバーをひねる) |
なるみ | ありがとー! |
(ザーっとシャワーの流れる音が、そして体を洗う音が響く)
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僕 | (ちょっと苛立ちながら)ところで誰なんだその子? |
なるみ | ・・・そういえば君の名前なんて言うんだっけ? |
少年 | 僕は『風上 龍也(かざかみ りゅうや)』その・・・(ちょっと照れながら)お姉さんありがとぅ。 |
僕 | そのなんだ。どうしてその龍也君・・・だっけ?がなんでそんな泥だらけになっているんだ? |
なるみ | もしかして田んぼに一緒にいたあの子がもしかして君を虐めていたの? |
少年(以下龍也) | ・・・。 |
なるみ | 大丈夫!お姉さん達、龍也君に聞かずに勝手に他の人へこの事を言ったりしないから! |
龍也 | ・・・。 |
なるみ | えーいっ!男の子でしょ!!言・い・な・さ・い! |
僕 | (小声で)また出たよ。なるみの「男でしょ!」が。 |
龍也 | 実は・・・ |
僕 | (回想風に)龍也君はある女の子達から何故かいつもこんな痛い目にあっているのだそうだ。今日もマラソン大会が来週の金曜日にあるということで練習をしていたところにその問題の女の子の一人に見つかって田んぼの中に突き落とされ泥だらけになったところをなるみに助けられこうしてシャワーを浴びているそうなのだ。 |
(体をタオルで拭きながら)
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なるみ | そっか・・・龍也君も大変だね・・・。そうだ!お姉さんと一緒に朝にマラソン大会の練習してみないない? |
龍也&僕 | えっ?! |
(で、話は現在に戻る)
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僕 | (回想風に)てなわけでそれから毎日なるみと龍也君のマラソンの為に毎朝こうして飯だ何だかんだで朝早く叩き起こされるようになった訳だけど正直言ってちょっとたまらん・・・そろそろ帰ってくる頃かな? |
なるみ | たっだいまー。めしめしーっ!と。 |
僕 | おかえりー。どうだった?龍也君の調子は。 |
なるみ | んー、本人は足が遅いのを気にしていたけどあの調子で走れるならまぁ結構それなりにいけるんじゃないかな。少なくとも私といい勝負だったし。 |
僕 | なるみといい勝負?!それじゃあやっぱりまずいんじゃ・・・。 |
なるみ | あっくんには言われたくない! |
僕 | (独り言風に)いや確かになるみの言う通り僕は運動神経は後ろから数えた方が早い方だけど・・・まぁいいや運動神経に関しては悔しいがどんぐりの背比べだ。 |
なるみ | ではいっただきまーす! |
なるみ | (ご飯を食べながら)しかしなんだろうなー。アレ? |
僕 | なに? |
なるみ | 実はマラソンをし始めてから3日目ぐらいから気になってたんだけどなんか付けられてるような気配を感じるのよね〜。 |
僕 | ・・・ストーカー?! |
なるみ | いやぁもてる女はつらいなぁ。 |
僕 | 鏡見ろ鏡。 |
なるみ | ま、今そんな感じはないしやっぱ気のせいかな。 |
僕 | で今日のマラソン大会って10時からだっけ? |
なるみ | うん、この辺を通るのは10時半ごろじゃないかな? |
僕 | じゃあまぁせっかくだからちょっと冷やかしで見てやるか。 |
なるみ | あっちゃん、ちょっと嫌そうだったけどやっぱ気になるんだね〜。 |
僕 | まぁちょっとな。 |
(で、シーンは変わって町内マラソン大会。僕の住んでいるアパート
の隣の道でも声援に混じって最初のランナーがやって来た) |
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僕 | おっ来た来た!・・・でもさすがに1位じゃなかったな。 |
なるみ | さすがにね〜。そんなに早かったら私とじゃあ練習にならないわよ。 |
(その後次々にランナーがやって来る)
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僕 | (冷えた手を摩りながら)・・・うーん。遅いな・・・。 |
なるみ | いつもならそろそろな時間なんだけどな。 |
(さすがにランナーも最後の方になってきて声援の間隔も
空いてくる。そのうち帰る人も多くなってその声援もかなり 薄いものになる) |
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僕 | (あくびを噛み殺しながら)遅いっ! |
なるみ | どうしたんだろ?遅すぎるよ・・・大丈夫なのかな?? |
(その時遠くから息を切らして走る音がが聞こえてくる)
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なるみ | あ、来た来た!龍也くーん。 |
僕 | ちょっと待て(と、ガシっとなるみの肩を掴む) |
なるみ | え?! |
僕 | ちょっと待て。 |
龍也 | はぁはぁ・・・ごめんね七実さん。僕の為に足、引っ張っちゃって。 |
七実 | なに言ってんの?怪我している人を助けるのは当たり前じゃない。困った時はお互い様よ。それよりも龍也君大丈夫? |
龍也 | 大丈夫大丈夫。(ちょっと照れながら)でも七実さんがいなかったら多分どうにもならなかったと思うよ。 |
僕 | (息を切らしながらかけ寄る)おい龍也君。大丈夫か? |
龍也 | なんとか。 |
七実 | すみません。先生がその先の折り返し地点にいるので呼んできて貰えませんか? |
なるみ | ・・・わかったわ。でも私じゃ詳しい事は分からないし一緒に自転車に乗ってきてくれない? |
七実 | はい!(というとなるみと一緒に自転車に乗って折り返し地点へ行く) |
僕 | ちょっと痛いけど我慢しろよ。(というとちり紙で傷口の泥を払う) |
龍也 | 痛たたたったーたー痛ててーっ!! |
僕 | ちっとも大丈夫じゃないじゃないか。(傷口をハンカチで縛りながら)しょうがない僕のうちで応急手当するから。そこまで大丈夫か? |
龍也 | いや、ちょっと足が痛くて。無理です。 |
僕 | そうか。大丈夫なんだな。行くぞ! |
龍也 | 痛てーっ!痛痛痛痛痛痛痛っ!! |
(アパートにて)
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僕 | (包帯を巻いたりしながら)よし。こんなものかな? |
龍也 | どうもすみません。 |
僕 | でも一体どうしたんだ?その怪我。 |
龍也 | ・・・その。ちょっとまた・・・。 |
僕 | ふっ。前はなかなか言ってくれなかったのに大した進歩じゃない。それに女の子と一緒にいちゃって。 |
龍也 | なっ、七実さんはそっ、そんな。確かに頭も良くてとっても優しくて明るくて、とってもとっても素敵だなとは思うけど、好きとかそういうのじゃなくて。友達みたいなもんで! |
僕 | 誰もそこまで言ってないんだけど・・・まぁそういう事にしといてあげるよ。(ぷにっと傷口を押す) |
龍也 | グーっ!! |
僕 | しかし・・・なーんでまたその人は龍也君にそんなイジメをするもんなのかな? |
龍也 | それは・・・。 |
(そのとき急に主人公のアパートのドアを開ける音が!)
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輝美 | こんにちわー!達也君はこちらにいらっしゃいますでしょうか? |
龍也 | あ、輝美?どうしたの? |
輝美 | もう龍也君が怪我したって聞いて駆けつけて来たんじゃない。・・・べっ別に変な事を考えないでよ。幼馴染の腐れ縁だから来たんだからね(ぽっ)。でも達也君ほんとひどい怪我。痛くない?しょうがない、今からこの輝美様が看病してあげるから覚悟しなさいね! |
僕 | 覚悟・・・いやその前に誰?君?? |
(そのとき急に窓ガラスを叩き割って自転車で突入してくる音が!)
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七実 | てーるーみー!(大魔人ボイスで)なーんか嫌な予感が予感がするから戻ってきてみれば案の定!!私の龍也君に何しようとしてんのよ!!! |
輝美 | 決まってるじゃない。この輝美様がジャイアント馬場並みの手厚い看護で龍也君の心と体の傷を癒してあげるのよ! |
七実 | 手厚いって、ちょっと例えが違うわよ!そんな頭の弱い輝美さんに手当てで癒すなんかできると思ってんの? |
輝美 | あーら、ついつい龍也君に振り向いてもらいたくて田んぼに突き落とす心の器までザコ・七実に言われたくはないですわ。 |
七実 | キーッ!!そもそも今日龍也君がこうして怪我をしたのもあんたがスタート直ぐにこけて龍也君へぶつかってこけたのが原因じゃない。 |
輝美 | 龍也君の背中暖かかった・・・(ぽっ)、いやいやいや!本当ならそのまま私が龍也君をごめんねごめんねと言いながらおぶって先生のところまで連れて行く予定だったのにこの女勝手に私の龍也君をさらってこんなところまで連れこんでいくなんてそんなお魚咥えたドロボウ猫に、みんなが笑ってるならまだしも偉そうに言われる筋外はございませんわ! |
僕 | いい加減にしろ!龍也君、君からも一言言ってやれ! |
龍也 | でも輝美さんのあのタカビーな見下したような口調もぞくぞくすると言うか独特の言い回しも可愛いって言うか。 |
なるみ | おまった〜!先生つれて来ましたぁ! |
先生 | なんだお前達またやってたのか。まったく懲りん奴らだな、帰るぞ〜今日はここまで!続きは宿題だ。 |
七実 | 輝美、しょうがないわね今日はとりあえずここで退いてあげるわ。でも今度やったら覚えてらっしゃい。 |
輝美 | ほーっほっほ。七実さんこそ暗い裏道を歩く時は周りに気をつけたほうが良くってよ。 |
七実 | さっ龍也君大丈夫?立てる?私の肩に捕まって。 |
輝美 | 何するのよ龍也君は私が! |
先生 | はいはいはい(手を叩きながら)、こういう事は皆で協力する事が大切ですよ。 |
七実&輝美 | ぶーっ。 |
(龍也は七実・輝美に抱えられて教師と共に退場)
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(寒い風が吹き抜ける)
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僕&なるみ | なんだったのよ、(僕&私)達って! |
(おしまい)
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