少年 |
(ホラー番組ふうに) 今年もいつものごとく正月がやってきた。雑煮やおせち料理を食べながらつまらん正月番組を見、ボーとしている僕にその後に起こる不幸など知るよしもなかった。 |
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(ボトンと年賀状が落ちる音が) |
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少年 |
えーこれが親父でこれも親父で次は僕で…っと。 |
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(しゃっしゃと年賀状をひたすら切る音が続いた) |
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少年 |
よし、やっと区分けが終わったか。毎年毎年こんな面倒くさいだけの年賀状なんかお互いよく書くよなぁ。さて僕宛てには誰から届いてきてるのかなっと |
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(ジャーンとここで一発ショッキングな効果音がありその後念仏でも唱えるがごとくに以下の文章が読み上げられる) |
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呪いの年賀状 |
あけましておめでとう。早速だがこれは呪いの年賀状である。この年賀状と一字一句間違わず写したものを『誰にも分からないよう』に『10人分』『本日付』で送らないと君はとんでもないことになる。例えば、この手紙を読んですぐに破いた長谷川竜一君(仮名:17歳)は3日後お年玉を全額つぎ込んで空中歩行型ダイエットマシンを買ったのはいいが、すぐにその体重に耐え切れず崩壊。その後の冬休みを病院で過ごさなくならなくなった。では、幸運を祈る。 |
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(チーンと金を叩く音で読み上げ終了) |
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少年 |
なんじゃこりゃ。まったく今時こんなしょうもないもの送ってきたのは。全く誰がこんなものにひっかかるんだちゅーの。でもなー、誰が一体こんなものおくってきたんだ?この前待ち合わせの時間を完全に忘れて3時間も待たせた浅野か?竹内にもこの間悪い事したしなー、でもそれをそんなに根に持つ奴等でもないし。 |
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(その時ノックが) |
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弟 |
兄貴ーっ、年賀状取りに来たんだけど。 |
少年 |
くそ!確か『誰にも分からないように』とかなんとか書いてあったからな。 |
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(急いで年賀状を服の下へ隠す) |
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弟 |
なにやっとるの? |
少年 |
いやーちょっとね。(ごちゃごちゃと)…でもこれをこのままにするのもなんだし誰にこれを出そうか。そうだ宿題とか出しまくる数学の中田とかいいな。 |
弟 |
なにぶつくさほざいとるの? |
少年 |
いやなんでも。ちょっとトイレにでもいくか。 |
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(少年はトイレにいく) |
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弟 |
あやしい。もしかして彼女からの年賀状が届いたからとか?まさかねー。まさか!ちょっと探してみるか。 |
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(部屋を荒らしまくる) |
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弟 |
おかしい。特に年賀状は野郎ばかりだったなぁ。そうだ!お年玉だ!!さっきおじさんからもらったお年玉。あいついくら持ってきやがったんだ? |
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(また部屋を荒らしまくる) |
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弟 |
あったあった。でも特に多いわけでもなさそうだな。じゃぁなんであんなに慌ててたんだ?。まっいいか? |
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(弟が部屋を去る、そしてトイレから少年が戻ってきた) |
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少年 |
やっぱ不幸の手紙とか出すのはいかんな。こんなロクでもない手紙なんか捨てよ捨てよ…っげ?! |
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少年 |
(ナレーション風に) しかし部屋に戻ってきたときその部屋の荒らされ方に僕はこれが不幸の手紙の力かと痛感した。その悔しさを僕は弟に対して10人分この不幸の年賀状をまとめて送り付けたのであった。もちろん去年のお年玉年賀葉書で当たった官製はがきに年賀と書いて。 |
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(おしまい) |